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コーヒーの大量摂取で

2型糖尿病のリスク低下

〔ヘルシンキ〕 フィンランド国立公衆衛生研究所(KTL,ヘルシンキ)の
Jaakko Tuomilehto博士らは,コーヒーの大量摂取が 2 型糖尿病のリスク低下と関連
しているとする研究結果をJAMA(2004; 291: 1213-1219)に発表した。

女性では約80%のリスク低下

今回の研究は,脳卒中,冠動脈疾患,糖尿病の既往歴を持たないフィンランド
人男性6,974例,女性7,655例を対象とし,1982,87,92年に実施された調査を合わせ
て解析したもの。研究によると,1 日 3 ~ 4 杯のコーヒーを摂取すると,糖尿病の
リスクが女性では29%,男性では27%低下するという。

Tuomilehto博士らは「コーヒーの摂取と 2 型糖尿病のリスクとに,摂取量に
応じた負の関連性が見られた」と述べている。その他の危険因子を検討した場合も,
この関係は立証された。

同博士らは「フィンランド人は他国民よりもコーヒーを多飲するので,大量に
コーヒーを摂取したときの糖尿病リスクを測定するだけの検出力があった」と説明し
ている。報告では,フィンランドの 1 人当たりのコーヒー消費量が世界一であるこ
とを検証した世界資源研究所のデータが引用された。

1 日10杯以上のコーヒーを飲む女性では糖尿病発症リスクが79%,男性では55
%低下することが認められた。年齢,調査期間,body mass index(BMI),収縮期血
圧,教育水準,職業,通勤時,余暇時の活動度,アルコールやお茶の摂取,喫煙など
複数の変数を調整した。その結果,確認された負の関連は年齢(50歳以上または未
満),喫煙の有無,体重(標準体重,過体重,肥満),アルコール摂取の有無,コー
ヒーフィルター使用の有無などで層別化しても,持続して有意なままであった。

全体では,平均12年間のフォローアップ期間中に計381例の 2 型糖尿病が同定
された。年齢および調査期間を調整したところ,コーヒー摂取量の多い症例ではBMI
や喫煙率,就業時,余暇時の身体活動度が高く,血圧,教育水準,お茶やアルコール
の摂取率が低いという関連が認められた。

同博士らは,コーヒー摂取に伴うリスク低下の理由は「不明なままである」と
し,「コーヒーの複数の成分が血糖調節に影響を及ぼしている可能性がある。グル
コース-6-ホスファターゼに対するクロロゲン酸の影響,α-グルコシダーゼに対する
ポリフェノールの抗酸化作用,膵β細胞のインスリン分泌に対するカフェインの影
響,植物エストロゲンの累積作用,マグネシウムなどが挙げられる」と述べている。

他国でも同様の関連

オランダ国立公衆衛生・環境研究所(オランダ・ビルトーベン)のR. M. van
Dam博士らが検討したオランダのコホート研究(Lancet 2002; 360: 1477-1478)で
も,コーヒー摂取量と糖尿病リスクとの負の関連が立証された。30~60歳の男女 1
万7,111例を対象としたこの前向き研究では,潜在的交絡因子を調整すると,1 日に
7 杯以上のコーヒーを飲む者が 2 型糖尿病を発症する確率は,1 日 2 杯以下の者の
半分であった。

わが国で実施された研究は,東京大学大学院糖尿病・代謝内科の五十川陽洋氏
らがLancet(2003; 361: 703-704)に,国立がんセンター研究所予防研究部の津金昌
一郎部長らがJournal of Epidemiology(2001; 11: S24-29)およびAmerican
Journal of Epidemiology(1999; 150: 1201-1207)に発表している。Lancetに掲載
された所見で,五十川氏らは,厚生労働省多目的コホート研究に登録された40~50歳
の男性1,916例と女性2,704例を対象とした研究結果について述べている。性,BMI,
糖尿病の家族歴,年齢を調整すると,コーヒー摂取は空腹時高血糖の有病率と負の関
連を示すことがこの横断研究から明らかにされた。一方,緑茶,紅茶,またはウーロ
ン茶の摂取については,空腹時高血糖との有意な相関は認められなかった。

最近では,1986~98年に男性 4 万1,934例,80~98年に女性 8 万4,276例を対
象に実施された米国の女性看護師研究とHealth Professionals' Follow-up研究につ
いて,ハーバード大学(ボストン)のSalazar-Martinez博士らがAnnals of Internal
Medicine(2004; 140: 1-8)に報告している。それによると,年齢,BMI,その他の
危険因子を調整すると,コーヒー摂取と 2 型糖尿病とは負の関連を示すことが立証
された。また,男女ともコーヒーや他の飲食物からのカフェイン総摂取量が,糖尿病
リスクの低さと統計学的に有意に関連していることも記されている。

過去のデータにも注目

興味深いのは,1960~70年代に実施されたフィンランドの研究では,コーヒー
摂取量と 2 型糖尿病との間に関連が認められなかったことである。しかし,
Tuomilehto博士らは当時の大多数のフィンランド人はフィルターコーヒーではなく沸
かしたコーヒーを飲んでいたことに注目して,「フィルターコーヒーを飲む男性と比
較して,ポットで沸かしただけのコーヒーを飲む男性では,約 3 倍もの有意な糖尿
病のリスク上昇が認められる」と述べている。

同博士らは,コーヒーやカフェインが心血管疾患,高血圧症,神経疾患,腫瘍
性疾患,ホルモン変化,胆嚢結石,腎結石に及ぼす影響を調査するため,これまでの
研究者は疫学的,臨床的,実験的手法を用いてきたと説明している。コーヒー摂取が
健康に及ぼす総合的な影響に関する文献を調べたいと希望する研究者にとって,同博
士らの論文の文献一覧は言わば「読み物リスト」の役割を果たしてくれるだろう。

Copyright(c) 2004 Medical Tribune Inc. All Rights Reserved.

2型糖尿病の素因となる遺伝子変異を特定

フィンランドとイスラエルの人口集団を調査

〔米メリーランド州ベセズダ〕 米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)のFrancis
S. Collins所長らの国際研究チームは,2 型糖尿病の素因となる遺伝子変異を見出
し,その詳細をDiabetes(2004; 53: 1141-1149)に発表した。米国立衛生研究所
(NIH)のElias A. Zerhouni所長は「これは,最も一般的で壊滅的な疾患の原因を,
科学者らが最新の生物学の助けを借りて,いかにして理解するかを示す優れた例であ
る。研究者らはヒトゲノム計画により築かれた基礎の上にさらに積み上げ続けている
ので,糖尿病,心疾患,精神疾患など複雑な疾患の多くを解明し,治療し,最終的に
は予防しようとする研究が,さらに迅速に進歩するだろう」と述べた。

HNF4Aの調節領域が関与

Collins所長らは,以前の研究から,2 型糖尿病感受性遺伝子が位置する可能
性の高い場所である20番染色体の広い範囲に目標を定め,一塩基多型(SNPs)と呼ば
れる遺伝子の変異体を 4 つ見出した。これらはフィンランド系ユダヤ人集団とア
シュケナージ(ドイツ・ポーランド・ロシア系ユダヤ人集団)において,2 型糖尿病
と強く関連している。

これら 4 つのSNPsはすべて,単一 遺伝子である肝細胞核因子4α(HNF4A,他
の数百の遺伝子の発現を調節するマスタースイッチとして働く転写因子)の調節領域
に集中して存在している。HNF4Aは,肝臓や膵臓など多くの組織において遺伝子のス
イッチをオン・オフする。膵臓のβ細胞では,この遺伝子はブドウ糖に対応するイン
スリン分泌に影響を与える。

責任研究者である同所長は,フィンランドの研究結果を「素晴らしい発見の融
合である」と評価。「われわれが見出したのは,この遺伝子の一般的な変異体であ
る。この変異体を持っていれば,2 型糖尿病を発症するリスクが約30%増加する。こ
の変異体は未特定の他の遺伝的感受性因子や,肥満や身体活動不足など,ある種の環
境作用などが共存しない限り,2 型糖尿病の原因にはならない」と述べている。

この発見を,糖尿病患者あるいは糖尿病発症リスクの高い人に恩恵をもたらす
治療につなげるにはまだ数年を要する。同所長は「この遺伝子とその機能の調節方法
について,もっと多くのことを学ぶ必要がある」としている。

今回の研究で,典型的な 2 型糖尿病と診断されたフィンランド人成人793例と
非糖尿病の対照413例について遺伝子多型を調査し,フィンランド人において 2 型糖
尿病と関連するHNF4A遺伝子の内部とその付近で総計10個のSNPsを特定した。最も顕
著な結果は,膵臓のインスリン分泌細胞における遺伝子発現を調節するDNA領域(プ
ロモーター)で発見された。リスク変異体を受け継いだ被験者は,空腹時と糖負荷 2
時間後に高い血糖値を示す傾向があった。

このフィンランド・米国インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)遺伝学
(FUSION)研究は,ミシガン大学(ミシガン州アナーバー)のMichael Boehnke博
士,フィンランド国立公衆衛生研究所(KTL)のJaakko Tuomilehto博士,Timo T.
Valle博士,南カリフォルニア大学(ロサンゼルス)のRichard N. Bergman博士,
NHGRIのCollins所長が指導している。今回の共同研究者はNHGRIのKaisa Silander博
士,Karen L. Mohlke博士。

別の人口集団でも確認

ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)のM. Alan Permutt博士が率いる
別の国際研究チームは,イスラエルのアシュケナージ系ユダヤ人成人を対象に,2 型
糖尿病患者275例と非糖尿病の対照342例について100個のSNPsを調査し,HNF4Aの同じ
領域のSNPsに糖尿病との関連が認められたとDiabetes(2004; 53: 1134-1140)に発
表した。

同博士は「これら 4 つの変異体は,HNF4Aの発現レベルを決定する調節領域を
示すものと考えている。現在は,DNAのこの領域が遺伝子発現になんらかの形で影響
を与えているのかどうかを研究している」と述べている。

ホワイトヘッド生物医学研究所(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の
Richard A. Young博士らは,NIHから助成を受けて複数のHNF転写因子により調節され
る遺伝子を研究し,その詳細をScience(2004; 303: 1378-1381)に発表した。この
研究では,HNF4Aプロモーターにおける多型が,2 型糖尿病に対する感受性をどのよ
うにもたらすのかを示唆している。同博士らは,HNF4Aがきわめて活性の高い転写因
子で,ヒトにおいて驚くべき数のβ細胞と肝細胞の遺伝子を調節していることを見出
し,HNF4Aプロモーター中の他の転写因子が結合する場所に間違いがあれば「HNF4Aと
下流の標的の発現調節が狂って,β細胞の機能不全や糖尿病につながる」と結論し
た。

これら 3 研究に資金を提供した米国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所
(NIDDK)のCatherine McKeon博士は「これらグループの行った観察は,糖尿病の遺
伝学を理解するうえで真の飛躍であり,他の複雑な疾患における遺伝子発見の青写真
となるだろう。研究は,基礎細胞生物学における進歩,ヒト集団における研究,新し
い遺伝子スキャン技術の堅実な基盤の上に築かれている」と述べた。

感受性遺伝子マッピングの国際的プロジェクト

Collins所長とPermutt博士は「他のグループにより研究結果が確認される必要
がある」と強調しており,実際,科学者らは他の人口集団における変異体を調査して
いる。Boehnke博士は「われわれの発見の詳細を,2 型糖尿病連鎖解析国際コンソー
シアムの科学者らにe-mailで送っている」と述べた。同博士は,NIDDKからの助成を
受けて,2 型糖尿病感受性遺伝子のマッピングを行っている世界的科学者グループで
ある同コンソーシアムの共同責任者である。

同博士は「このアプローチは,研究結果が確認あるいは否認される速度を大幅
に上げるだろう」としている。そのほか,リスク変異体を有するヒトがβ細胞障害徴
候を有するかどうか,また,動物におけるHNF4A機能を研究する予定である。

β細胞機能に大きな影響を与える遺伝子は 6 種類とされ,常染色体優性遺伝
により比較的若年で発症する 2 型糖尿病であるMODYを含むまれな糖尿病に寄与して
いることは,以前から知られていた。このような変異は,糖尿病の全症例の約 2 ~
3 %を占めている。HNF4Aのコード領域における変異は 1 型MODYの原因となる。これ
は,正常体重で25歳未満の人に発症するまれな糖尿病である。

しかし,一般の 2 型糖尿病は,通常40歳以上の過体重で不活発な人々に発症
し,糖尿病の家族歴がある場合に多い。米国では,2 型糖尿病は約1,700万例が罹患
しており,米国の全糖尿病症例の90~95%を占め,アフリカ系米国人,ヒスパニック
系/ラテン系米国人,米国先住民に偏っている。この有病率は過去30年間で着実に増
加しており,若者や小児でも認められるようになっている。この疾患の特徴はインス
リン抵抗性で,β細胞が十分なインスリンを次第に産生できなくなることである。

遺伝子調節領域の研究も重要

研究者らは,単一遺伝子の変異から生ずる疾患の基礎を理解するために努力し
てきた。糖尿病などのより一般的な多遺伝子疾患を理解するのはさらに困難である。

Permutt博士は「多くの患者について,20番染色体上のすべての遺伝子のコー
ド領域を配列決定により徹底的に調査することもできたであろうが,それでは何も見
つからない。なぜなら,問題は遺伝子そのものではなく,遺伝子から遠く離れた調節
領域にあるからだ。今回の研究は,おそらく候補遺伝子の発現レベルにより,遺伝的
危険因子に関する理解が深まることを示唆している。また,遺伝子自体を最初から最
後まで詳細に観察しても,完全な仕事をしたとは言えないことも示している。われわ
れは,症例および対照について遺伝子周辺の多型マーカーの相違を調査しなければな
らない」と述べている。

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~小児2型糖尿病の最適治療法を探る臨床試験~

フィラデルフィア小児病院も参加

〔米ペンシルベニア州フィラデルフィア〕 小児 2 型糖尿病が驚くべき速さで
増加しているなか,フィラデルフィア小児病院内分泌科の Charles Stanley 医長
は,2 型糖尿病に罹患した小児を対象に 3 種類の治療法を比較する全米の多施設複
数年研究(本紙 5月20日号22ページ)に,同院の臨床医と研究者が参加すると発表し
た。

若年者対象の初の臨床試験

同院における治験統括医である Stanley 医長は「現在,2 型糖尿病と診断さ
れる小児の数が増加し続けているが,かつては小児ではなく成人が罹患する生活習慣
病として知られていた。当院で 2 型糖尿病と診断される小児は,10年前は年間およ
そ 2 例にすぎなかったが,昨年は70例近くが診断されている」と述べた。

TODAY(Treatment Options for type 2 Diabetes in Adolescents and
Youth)研究は,米国立衛生研究所(NIH)の助成を受けて 2 型糖尿病の若年者を調
査する初の臨床試験である。参加者は,(1)メトホルミン単独(2)メトホルミンと
rosiglitazone 併用(3)メトホルミン投与と減量,身体活動の増加を目標とした徹底
的なライフスタイルの改善-の 3 つの治療群のいずれかにランダム化割り付けされ
る。

全米の施設において過去 2 年間に 2 型糖尿病と診断された小児と思春期の
750例が研究に参加する予定である。このうち,フィラデルフィア小児病院では75例
を対象とする。試験は 5 年間の予定で実施される。

10代で合併症発症例も

TODAY 研究のおもな目標は,血糖コントロールに対する各治療の有効性とその
持続期間を明らかにすることである。また,治療の安全性,インスリン産生,インス
リン抵抗性,身体組成,栄養,身体活動,エアロビック・フィットネス,眼,腎,神
経,心疾患の危険因子,QOL,心理的アウトカムに対する治療効果,患者と家族の行
動が治療反応に与える影響,治療の費用効果が調べられる。

糖尿病の罹患期間が長くなるほど眼,神経,心臓,腎臓,血管に重大な障害が
発生する危険性が高まる。共同研究者でフィラデルフィア小児病院の小児内分泌学者
である Lorraine Katz 博士は「10代の若者で既に 2 型糖尿病の合併症を発症してい
るケースがある」と指摘。「この疾患の合併症を遅延させるためには,できるだけ早
期に最も安全かつ有効な治療を提供することが重要である。しかし,成人に適用され
ている治療法が,小児と10代にも同じように安全に作用するとは限らない」と述べて
いる。

家族ぐるみの生活改善を

成人の 2 型糖尿病治療薬は数多く存在するが,小児 2 型糖尿病の治療薬とし
て米食品医薬品局(FDA)が承認している経口剤はメトホルミンのみである。同薬
は,多くの小児内分泌学者により第一選択療法とされており,肝臓のグルコース産生
を低下させる働きを持つ。TODAY 研究に使用されるもう 1 つの経口剤
rosiglitazone は,チアゾリジン誘導体(TZDs)と呼ばれるインスリン抵抗性改善薬
のクラスに属している。同薬は筋肉細胞のインスリンに対する感受性を高め,グル
コース消費の効率を上げる。

TODAY 研究は,2 型糖尿病患児に対する重点的ライフスタイルの改善(カロ
リー制限と身体活動の増加による体重減を目指す)の影響を評価する初めての臨床研
究である。

研究の治験医の 1 人でフィラデルフィア小児病院精神科の Robert Berkowitz
医長は「現代の小児と10代の多くは不健康な食物から大量のカロリーを摂取し,不活
発な生活を送っている」と指摘。「この試験における家族をベースにしたライフスタ
イル改善では,2 型糖尿病の潜在的な治療選択肢として,健全な食習慣と身体活動が
導入される」としている。

少数民族の若年者で着実に増加

かつて 2 型糖尿病は成人だけに見られたが,現在では小児全般,特にアフリ
カ系米国人,ラテン系米国人,米国先住民といった少数民族の思春期において着実に
増加している。小児期の 2 型糖尿病の症例は,1994年には小児糖尿病症例の 5 %未
満であったが,その後,飛躍的に増加し,99年までに 8 ~45%(地域差あり)を占
めるようになった。

米国では約1,820万人(全人口の6.3%)が糖尿病に罹患している。糖尿病は成
人の腎不全,四肢切断,初発の失明の主要原因であり,心疾患と脳卒中の大きな原因
となっている。 2 型糖尿病は40歳を超えるとよく見られ,全糖尿病症例の95%を占
めている。2 型糖尿病の有病率は過去30年間に飛躍的に増加した。最近10年間だけで
も,おもに肥満が原因で糖尿病と診断された患者数は50%上昇している。

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~高リスク糖尿病患者の心血管イベント~

CEAよりステントで減少

〔米アリゾナ州フェニックス〕 ピッツバーグ大学医療センター(ペンシルベ
ニア州ピッツバーグ)ピッツバーグ血管研究所のMark Wholey博士は,「頸動脈にス
テントを留置している高リスクの糖尿病患者は,頸動脈内膜切除術(CEA)を受けた
患者と比較して主要な心血管イベントが有意に減少していることがわかった」と米国
インターベンション放射線学会第29回年次集会で報告した。

心筋梗塞,大量出血が少ない

Wholey博士によると,29施設で実施されたランダム化比較試験における心筋梗
塞の発症率は,CEA群が18.2%であったのに対し,ステント群は2.4%であった。ま
た,大量出血がCEA群の20.5%に報告されたのに対し,ステント群では4.8%のみで
あった。

死亡,脳卒中,心筋梗塞を含む主要な有害事象の年間発生率は,ステント群
4.8%,CEA群25.0%であった。

統計学的に有意な評価として,30日間における脳卒中,心筋梗塞,死亡のいず
れかのイベント発生率は,ステント群4.8%,CEA群22.7%であった。同博士は「この
研究から,このような高リスク集団でさえステントのほうがはるかに安全であること
が示された」と述べた。

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